自律神経を整えるツボは、自宅で道具を使わずに試せるセルフケアとして、多くの方に取り入れられています。本記事では、自律神経のサポートに用いられる代表的なツボ8つを、それぞれの位置・どんな悩みに使われるか・押し方とあわせて、鍼灸を専門とする立場から解説します。

ツボの位置は、WHOが2008年に定めた国際標準の経穴部位に沿って紹介します。「即効性が欲しい」「今すぐ落ち着きたい」という時の一助として、ご自身の症状に合うツボから試してみてください。

自律神経が乱れるとどうなるのか

自律神経は、体の活動を担う交感神経と、休息を担う副交感神経の二つで構成され、内臓・呼吸・体温・血流などを24時間調整しています。この二つのバランスが崩れると、疲労感・不眠・めまい・動悸・頭痛・イライラといったさまざまな不調が現れます。

ツボ押しは、こうした自律神経の乱れに対するセルフケアのひとつです。あくまで補完的なアプローチではありますが、リラックスのきっかけとして取り入れる方が多くいらっしゃいます。

ツボ押しが自律神経のサポートに用いられる理由

自律神経のサポートに用いられるツボ押し(手)のイメージ

東洋医学では、体には「経絡(けいらく)」と呼ばれるエネルギーの通り道があり、その上に点在するのがツボ(経穴)だと考えられています。ツボを刺激することで気血のめぐりを整え、心身のバランスを保つという考え方です。

ツボの位置は長らく国や流派によって微妙に異なっていましたが、WHOが2008年に経穴部位を国際標準化し、世界的に361穴が共通の位置として定められました(出典:全日本鍼灸学会雑誌 57巻5号「WHO経穴部位国際標準化の経緯と今後」)。本記事で紹介するツボも、この国際標準に沿った位置でお伝えします。

自律神経を整えるツボ8選

自律神経を整えるツボの位置を示す手と足の経穴模型

まずは、これから紹介する8つのツボの全体像を一覧でまとめました。ご自身の気になる症状に近いツボから読み進めてください。

ツボ 読み 主なお悩み おおよその位置
内関 ないかん 動悸・不安・乗り物酔い 手首の内側
神門 しんもん 不眠・イライラ 手首の小指側
百会 ひゃくえ 自律神経全般・頭の重さ 頭のてっぺん
合谷 ごうこく 頭痛・肩こり・ストレス 親指と人差し指の間
三陰交 さんいんこう 冷え・生理不順 内くるぶしの上
太衝 たいしょう イライラ・怒りっぽさ 足の甲
湧泉 ゆうせん 冷え・不眠・疲労感 足の裏
印堂 いんどう 不安・不眠・頭の重さ 眉間

各ツボとも、痛気持ちいいと感じる強さで5秒押して3秒離すサイクルを、5回ほど繰り返すのが基本です。ここからは1つずつ、位置と押し方を詳しく見ていきましょう。

内関(ないかん)|動悸・不安・乗り物酔いに

内関は、手のひら側の手首の横じわから、指3本分ひじ寄りに進んだところにあります。2本の腱の間にあるくぼみが目印です。動悸や不安感、乗り物酔いや吐き気を感じる時に用いられることが多いツボで、緊張する場面の前に押しておくのもよいとされています。反対の手の親指で、両腕とも押してみてください。

神門(しんもん)|不眠・イライラに

神門は、手首の小指側、手首の横じわの上にあるくぼみに位置します。不眠やイライラ、不安感が強い時に用いられることが多く、心を落ち着けたい場面でのセルフケアに向いています。寝る前に布団の中で押すのもおすすめです。

百会(ひゃくえ)|自律神経全般・頭の重さに

百会は、頭のてっぺん、左右の耳の先端を結んだ線と顔の中心線が交わるところにあります。自律神経全般のリセットに用いられることが多く、頭が重い時や気持ちが落ち着かない時に、両手の中指を重ねて真下にゆっくり押し込みます。

合谷(ごうこく)|頭痛・肩こり・ストレスに

合谷は、手の甲側、親指と人差し指の骨が交わる手前のくぼみにあります。頭痛・肩こり・ストレスなど幅広い不調に用いられる万能のツボとして知られています。デスクワークの合間など、いつでも手軽に押せるのが利点です。

三陰交(さんいんこう)|冷え・生理不順に

三陰交は、足の内くるぶしの一番高いところから指4本分上、すねの骨のすぐ後ろにあります。冷えや生理不順、婦人科系の不調に用いられることが多く、女性の自律神経トラブルのセルフケアによく挙げられるツボです。冷えが気になる方は、入浴後の温まった状態で押すとよいでしょう。

太衝(たいしょう)|イライラ・怒りっぽさに

太衝は、足の甲側、親指と人差し指の骨の間をたどっていき、骨が合わさる手前のくぼみにあります。イライラや怒りっぽさ、ストレスが溜まっている時に用いられることが多いツボです。気持ちが高ぶっている時に、ゆっくり押してみてください。

湧泉(ゆうせん)|冷え・不眠・疲労感に

湧泉は、足の裏、足の指を曲げた時に最もくぼむところにあります。足裏のおよそ前から3分の1の位置が目安です。冷え性や不眠、疲労感が強い時に用いられることが多く、足の冷えで眠れない方のセルフケアに向いています。両手の親指で、下から押し上げるように刺激します。

印堂(いんどう)|不安・不眠・頭の重さに

印堂は、左右の眉頭を結んだ線の中央、いわゆる眉間にあります。不安感や不眠、頭の重さを感じる時に用いられることが多いツボです。中指の腹で、痛気持ちいい強さでゆっくり押すと、目の疲れの緩和にも取り入れられています。

症状別|おすすめのツボの組み合わせ

どのツボから試せばよいか迷う方のために、症状ごとのおすすめの組み合わせを一覧にまとめました。

お悩み おすすめのツボの組み合わせ
不眠 神門 + 湧泉 + 印堂(寝る前に)
パニック・不安 内関 + 神門
めまい・ふらつき 百会 + 合谷
慢性的な疲労感 湧泉 + 三陰交
生理不順・PMS 三陰交 + 太衝

すべてを一度に行う必要はありません。ご自身の症状に近いものから、無理のない範囲で続けることが大切です。

鍼灸の現場で手応えを感じている3つのツボ

数あるツボの中でも、当院の院長が施術の中で特に手応えを感じているのが、内関・百会・三陰交の3つです。

内関は、パニック障害でお悩みの方に最初にお伝えすることが多いツボです。手首の押しやすい位置にあり、ご自身でも続けやすい点が大きな理由です。百会は、施術の最初と最後に毎回触れるツボで、自律神経全般のリセットの起点として位置づけています。三陰交は、冷えや生理不順など、女性の自律神経トラブル全般に向き合う際に重視しているツボです。

いずれも押せば不調がなくなるというものではなく、自律神経のバランスを整えるきっかけになりやすいツボとお考えいただくのが正確です。

ツボ押しの正しいやり方とNG行動

ツボ押しの正しいやり方(手のツボを指で押す)のイメージ

ツボ押しは、強く押せばよいというものではありません。痛気持ちいいと感じる程度の強さで、息を吐きながらゆっくり押すのが基本です。1か所につき5秒押して3秒離すサイクルを5回ほど、1日2〜3回を目安にしてください。

一方で、ツボ押しを避けたほうがよい場面もあります。食事の直後や飲酒後、発熱している時、体調が著しくすぐれない時は控えてください。また、妊娠中の方は刺激を避けたほうがよいツボもあるため、自己判断で行わず、必ず主治医や専門家にご相談ください。皮膚に傷や炎症がある部分も避けましょう。

セルフケアで改善が見えない時は専門家へ

ツボ押しはあくまで補完的なセルフケアです。しばらく続けても症状が和らがない場合や、症状が長引いている場合は、自律神経を専門とする治療院や医療機関への相談を検討してください。

当院(札幌はるかぜ治療院)では、鍼灸によるツボへのアプローチに加えて、姿勢の調整や心理的なサポートを組み合わせ、自律神経のバランスを多角的に整える施術を行っています。自律神経失調症の詳しい治し方は自律神経失調症の治し方の記事で解説しています。

自律神経を整えるツボに関するよくある質問

Q. ツボ押しはどれくらいで変化を感じますか?

効果の現れ方には個人差が大きく、一概にはお伝えできません。その場で気持ちが落ち着く方もいれば、続けるうちに少しずつ変化を感じる方もいます。即効性を期待するよりも、毎日のセルフケアとして無理なく続けることをおすすめします。

Q. 毎日押しても大丈夫ですか?

痛気持ちいい程度の強さであれば、毎日続けていただいて問題ありません。ただし、強く押しすぎて痛みや内出血が出る場合は、強さや回数を控えてください。

Q. 妊娠中でもツボを押せますか?

妊娠中は刺激を避けたほうがよいツボがあります(三陰交などが代表的です)。自己判断で行わず、必ず主治医や専門家にご相談ください。

Q. ツボ押しと鍼灸は何が違いますか?

ツボ押しはご自身の指で行うセルフケアで、鍼灸は国家資格を持つ施術者が鍼やお灸を用いて、より的確にツボへ働きかける施術です。セルフケアで物足りなさを感じる方は、専門家による鍼灸を検討する選択肢もあります。

まとめ|自律神経を整えるツボはセルフケアの第一歩

自律神経を整えるツボとして、内関・神門・百会・合谷・三陰交・太衝・湧泉・印堂の8つを紹介しました。いずれも自宅で道具なしに試せるものばかりです。

ツボ押しは、痛気持ちいい強さで、息を吐きながらゆっくり押すのが基本です。ご自身の症状に近いツボから、無理のない範囲で毎日のセルフケアとして取り入れてみてください。しばらく続けても改善が見えない時は、自律神経を専門とする治療院や医療機関への相談もご検討ください。


札幌はるかぜ治療院へのお問い合わせ

ツボ押しを試しても症状が和らがない方、お一人で抱え込まずにお気軽にご相談ください。

初回の方には特別価格のご案内もしております。


【執筆・監修】自律神経専門 札幌はるかぜ治療院 院長 尾池 直紀

国家資格4種(あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・理学療法士)を保有。臨床経験13年・延べ3万件以上の施術実績。札幌市北区で唯一の自律神経専門院として、自律神経失調症・パニック障害・めまい・不眠・起立性調節障害などのお悩みに対応しています。

札幌はるかぜ治療院 公式サイトを見る


※ツボ押しの効果には個人差があります。本記事の内容を実践されて体調に変化があった場合は、ご自身の判断で中止し、必要に応じて医療機関にご相談ください。

※妊娠中の方や持病をお持ちの方は、ツボ押しを始める前に主治医にご相談ください。

※本記事の内容は、一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の疾患の診断や治療を行うものではありません。

※当院は医療機関ではなく、あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・理学療法士の国家資格に基づく医療類似行為を提供しています。